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「姿勢を正して、礼」

「お願いします」



 今日も河原先生は素敵。1周回って何故か怒りが沸いてくるくらい素敵で、大好き。




 こんなにも好きなのに。


 河原先生には、私の想いが何1つ届かない。




「今日の6限にロングホームルームがあるが、そこで体育祭についての話し合いをする。係を決めたりするから、自分は何がやりたいか考えておくように」



 先生の言葉に、教室が少しだけざわついた。



「……」



 教室だけではない。私の心もざわつく。


 私にとって体育祭は1年間で1番嫌いな行事だ。2番目はマラソン大会。個人的に無くなって欲しい行事、トップ2だ。理由は運動が苦手だから。


 




「じゃあ、連絡は以上だ」




 騒がしい生徒を背に、河原先生は眼鏡をクイっと押し上げて教室から出て行った。





 あの、眼鏡を押し上げる仕草も好き。たったそれだけで私の心臓は飛び跳ねる。






「……はぁ」





 思わず頭を抱えた。



 体育祭のことは速攻頭の中から消え去り、河原先生のことでいっぱいになる私。





 好き。

 河原先生、好き。大好き。




 行き場のない想いが溢れて、本当にどうしようもない。



 




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