大人②
「姿勢を正して、礼」
「お願いします」
今日も河原先生は素敵。1周回って何故か怒りが沸いてくるくらい素敵で、大好き。
こんなにも好きなのに。
河原先生には、私の想いが何1つ届かない。
「今日の6限にロングホームルームがあるが、そこで体育祭についての話し合いをする。係を決めたりするから、自分は何がやりたいか考えておくように」
先生の言葉に、教室が少しだけざわついた。
「……」
教室だけではない。私の心もざわつく。
私にとって体育祭は1年間で1番嫌いな行事だ。2番目はマラソン大会。個人的に無くなって欲しい行事、トップ2だ。理由は運動が苦手だから。
「じゃあ、連絡は以上だ」
騒がしい生徒を背に、河原先生は眼鏡をクイっと押し上げて教室から出て行った。
あの、眼鏡を押し上げる仕草も好き。たったそれだけで私の心臓は飛び跳ねる。
「……はぁ」
思わず頭を抱えた。
体育祭のことは速攻頭の中から消え去り、河原先生のことでいっぱいになる私。
好き。
河原先生、好き。大好き。
行き場のない想いが溢れて、本当にどうしようもない。
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