第69話

なんなのアタシの周りの男って自分勝手で、マシなヤツがいない。




「…かのん?」



アタシが抵抗するのを止めると、サツキの腕の力も緩まる。



もう消してしまおう。



サツキはもう知らない人にしよう。



「何か、言って。」



アタシの目から涙が落ちる。

何を言えっていうの。




アタシはこんな男は知らない。



「……って、帰ってください。五葉先生。」



サツキが動揺するのが分かった。



だけど、もう遅いんだから。



サツキが崩したんだから。



アタシとの関係を。



「かのん、俺が言いたいのはね…」



「聞きたくない、もう関係ないから。」




アタシは起き上がってサツキから距離をおく。



「…俺が幼なじみを止める意味を考えてよ。」




意味?



「このままじゃかのんは俺を男として見ないでしょ。」



「見て…る。」



「そういう事じゃない、恋愛対象って意味。」



「またその話?いい加減に…」




「好き、だから。」




……え?



「かのんが好きだから…ちゃんと俺をみてよ…。」




アタシの涙は流れている場合ではなかった。

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