第82話

「律に話していない事?……なんてないよ。」



「ん?本当に?」



律はアタシの顔を覗き込む。



「ホ、ホントに。」



何を言えば良いのか分からなかった。


薬のコトも、結婚生活の不安も



話せるワケがなかった。



「そう。」



律はアタシから視線を外す。



アタシはそれを見てゆっくり息を吐く。



「はな、」



「うん?」



「俺ね、はなと結婚できて良かった。はなさえ隣にいてくれたらもう何も望まないから。」



「……っ、」


どうして今そんな事言うの?



……ダメ、そんな事言わないでよ、



彼には、



ウソをついてはいけない。



手を離してはいけないのに……。

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