第58話

―――――……


昼食を終え、リビングで寛いでいるとインターホンが鳴った。






「すみません、突然来てしまって…。」



彼女の名前は野宮さんと言った。

律が指導している女医さんらしい。


野宮さんは泣いた跡があった。



「いえ、何かあったんですか?」



アタシは彼女にお茶を出すとソファーに座った。



「あの…病院を飛び出してしまって、」



「え?」



「アタシが悪いんですけど…滝川先生を怒らせてしまって、」



律が怒った?

野宮さんを?

アタシはさっぱり意味が分からなかった。



「先生はアタシの指導医も辞めるって言われてどうしたら良いのかっ……」



野宮さんは泣き始める。



アタシはどう声を掛けたらいいのかも分からず、彼女を見つめていた。

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