第22話

意外にも冬弥さんはアタシの買い物に付き合ってくれてお金まで出してくれた。



「冬弥さん、お金はさすがに…。」



「ああ、律には黙ってればいいよ。今日会った事も。」



買い物が終わって冬弥さんは店内のベンチに

案内してくれた。


「アイツと俺は合わないからね。」


自販機から冬弥さんはジュースを取り出すとアタシに渡してくる。


アタシはそれを受け取る。



「こんなにまともにはなチャンと話すのは初めてだね。」



「今日はありがとうございました。」



「別に。一応親戚だし?俺も滝川だから。」



「あの…アタシの事は、」



「それは嫌でも分かるよ?君が産む子どもはどちらにしろ跡継ぎだからね。注目も集まる。」



…そうだ、あたしはそんな大事な子どもを育てることが出来ない。



「そんな顔すんなよ、俺は律は生意気で気に入らないけどはなチャンまで苦しめたいわけじゃない。」



冬弥さんはアタシの頭を撫でた。



知らないうちにアタシの目から涙が溢れていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る