第81話

「山崎さん?疲れた?」




シャーペンの動きを止めてしまっていたのを不思議に思ったのか、成宮君がじっと私の顔を覗き込んで来る。




「ううん。大丈夫」




本当は疲れたけど、成宮君と一緒に居れるなら平気だもん。




それに、今のはスッと伸びてきた成宮君の指に、意識が持っていかれてただけだし。




ダメだ。集中しないと。




せっかく教えて貰っているのに。




「んー。もう1時間以上経つし、この問題が終わったら今日はもう終わりにしようか?」




優しい成宮君は私を気遣ってくれたのか、そう言ってノート以外の物を鞄に片付けていく。




「え?あ、わかった」




私は小さく頷いて、再びノートに視線を落とした。

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