第41話
名前を呼ばれた方に振り返ると、階段を降りていた成宮君が驚いた顔で私を見ていた。
「あ、成宮君!助け……」
「話すだけって言っただろ?」
男の子の1人が私の口を押さえて苛立った声を出した。
「俺らすげーイライラしてんだよな。こいつ殴っちゃうかも」
もう1人の男の子が、私にしか聞こえないくらいの小声でボソっと言ってくる。
成宮君が殴られる……?
この綺麗な顔を殴るなんて、あり得ない。
ちょっと、唇の端が切れているワイルドな成宮君も見たい気もするけど……。
いや、ダメだ。成宮君に迷惑をかけて嫌われちゃったら、立ち直れない……。
私のせいで殴られるのは……。
怖いけど、話すだけだって言ってるし、きっと大丈夫だよね?
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