第35話

「俺、山崎さんを迷惑なんて思ってないよ?それにもう席替えで決まったことだから」




成宮君は申し訳なさそうな顔を浮かべて言う。




でも、その表情とは違って、口調だけは淡々としていて……。




葉山さんは悔しそうに口をギュっと結ぶと、MK5の人達と一緒に黙ったまま教室を出て行った。




静まり返る教室内、再び成宮君に視線が集まる。




緊張のような、楽しむような、そんな視線が。




でも、成宮君はそんなことを全く気にする様子もなく、ただ私をじっと見つめる。




射ぬかれそうな瞳に見つめられて目を逸らすことが出来ない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る