第34話

「だ、誰がブスですってー?」




鼻で笑われた葉山さんは、顔を真っ赤にさせて口をわなわなと震わせた。




「お、おい信彦。一応こいつらはMK5って言われてるんだぞ?」



「はぁ?マジで、キレる、5秒前?」



「バ、バカヤロ!マジで、可愛い、5人組だよ!」




こそっと言い返すクラスの男子に、信彦君は堂々と言い返す。




そんな2人の会話に、教室中でドッと笑いが起きる。




「なによ!これも、それも、あれも、全部山崎さんが悪いのよっ!あなたが成宮君に迷惑をかけるから……」



「葉山さん」




私に怒鳴る葉山さんの声を遮って、成宮君が冷静な声で葉山さんの名前を呼んだ。




それは静かな声だったのに……教室は一気に熱を失ったように静寂が訪れる。




息をするのも忘れそうになるくらい、はりつめた空気の中




みんなの視線が痛々しいほど成宮君に注がれた。

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