第20話

ってそんなことより言い訳を考えないと……!




「えっと……」



「えっと?」



「その……」



「その?」



「あれだよ……」



「あれだよ?」




成宮君は私の言う言葉をひたすら復唱してくる。




今なら“好き”って言えば、その甘い声で“好き”って言い返してくれるのかな……?




言ってみたい。



けど、返って来るのがゴメンになりそうで怖くて言えない。




もう冷や汗までかいてきた。



成宮君の視線が痛い。





「あれ……?」




言い訳も全く思いつかなくて思わず俯いた私の目に、ふと成宮君のネクタイが映った。




ネクタイの結び目が少しおかしくなってる。




以外と不器用だとか?




いやいや、あんなに綺麗な字を書く人が不器用なわけないか。

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