第94話

「りせが好きだよ……本当に。」


そう言って川嶋先生はじわりとアタシに体重をかけてくる。

耳元で囁く彼の声音はやっぱりアタシをおかしくさせる。


「他の誰かに取られるくらいなら……りせをココに閉じ込めようかな。」


「誰にも取られたりしません。」


「じゃあ、りせが俺を安心させてよ。」


「安心……ですか?」


「そう、だから言葉とか態度でね。ねえ、もう俺に決めちゃいなよ、」


川嶋先生は軽くアタシの唇に触れる。


「キスをするのも……」


思考が変になる。


目の前にはもう彼しか映らない……。


「抱き合うのもね……。」


アタシは川嶋綾に囚われ、


彼の中に堕ちる――――。

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