第87話

アタシを抱き締める川嶋先生の体温がアタシ自身を甘く刺激する。

そんな事を想っているなんてこのヒトは思いもしないと思う。

アタシは彼を抱き締めたい衝動を必死で抑えていた。


だってアタシは……、


「りせ、」


「……はい?」


不意に呼ばれるからアタシの身体は強張る。



「俺にすれば?」


「えと……、」


アタシは返答に困る。


「別に誰かを知ろうとしなくても……それか誰かを知りたいと思ってる?」



「あっ……、」


川嶋先生はアタシをソファーに押し倒す。

アタシは咄嗟の事に抵抗するのも忘れていた。

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