第68話
川嶋先生と視線を合わせたのはアタシの意志なのに、もう負けそうな自分がいた。
彼は言葉を発することなくアタシを見つめたままで……。
「川嶋君、彼女は深野りせさん。本院の消化器外科病棟のナースなの。」
何も知らない浅野先生は川嶋先生にアタシを紹介する。
彼はアタシを見つめていたけれどそれを聞いて視線をずらした。
そして、
「初めまして、センター勤務の川嶋です。深野さん、俺の知っているヒトに凄く似ているんだけど。」
彼はそう言ってアタシを遠巻きに捕まえた。
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