堕天使 12

第56話

「そうなんだ、深野さん彼氏いないんだ。」


「先生、そんなしみじみ言わないでください。それなりに傷つきます。」


アタシは処置台の前にいる浅野先生を見た。


「そうじゃなくて、意外だと思ったの。」



「イイですよ……別に、慰めは余計に泣けてきますから。」


アタシは笑いながら言った。



「彼氏は欲しくないの?」


「年中募集中です。」


即答すると浅野先生はアタシが座るデスクに来る。



「ねえ、深野さん。」


アタシは彼女を見上げる。


「はい?」


浅野先生は少し躊躇するような表情をする。


そして、



「深野さんに紹介したい人がいるんだけど、会ってみる気はない?」



浅野先生は薄く微笑んだ。

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