第55話

アタシは明日の点滴準備を終えるとデスクに座って電子カルテを開ける。


「そんなヒトいませんから、アタシも病院とマンションの往復です。」



「え、ホントに?」


浅野先生は何だか口調が明るくなる。


「嘘言ってどうするんですか、浅野先生こそ本当なんですか?実は彼氏と……、」


アタシはそう言い掛けて止めた。


それは川嶋先生が頭に浮かんだから。

浅野先生の彼氏……それは彼だと思っているし。


この嫉妬なのか分からない気持ちはどうすればなくなるのだろう……。


ただただ落ち込みそうになる。

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