第43話

それから逃げるように川嶋先生のマンションを出た。


アタシは夜も明けきらない街中を必死で走りタクシーに乗った。


乗った時、タクシーの運転手はアタシの持ち物を見て少し怪訝な表情をしたけれど乗車拒否まではされなかった。


車が発進すると緊張の糸が解けるように身体の力も抜けて後ろにもたれる。



今頃……、シャワーを浴びた彼はアタシが居ない事に気づいてどんな表情をしているんだろう。

驚いてるのかな、それとも……何とも思っていないかも。


ただ……。


アタシは手元に視線を落とす。


ここには、


あの寝室にあった今はぐしゃぐしゃになったシーツがあった。

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