第38話

目を瞑ってこの時間の終わりを待ってればいいのかな……。


もういっそのこと川嶋先生に嘘をバラせば?


そうすれば彼は馬鹿なアタシに呆れて止めてくれるかもしれない。


だけど、


そんな事を頭で考える猶予なんてなかった。

それは、川嶋先生の左手がアタシの脇腹をなぞったから。


「っ……!」


ゾクッとした。


その後も彼の手は優しく……艶めかしくアタシの身体を弄んだ。


同じ病院で働くのにとても手の届かない川嶋先生に触れられている事実が信じられなかった。



だけど、


アタシが彼と同じ救命センターで出会っていたら……、



今と同じように貴方はあたしを抱いてた?


言葉にならない心の声を川嶋先生に向けた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る