第89話

「い、意地悪……、」


そう言いかけると浦崎君の長い指がつぅーっと

背中をなぞる。


「ねぇ、」


指の感触にゾクッとして身体が一瞬固まる。


「……もう1回する、とか言いませんよ。」


そう言うと浦崎君は薄く笑った。


「……残念、」


すると彼の携帯が鳴る。


「……え、この着信音、」


そう言いながら急いで携帯を見る。


「……なんだよ、病院からだ。」



その言葉にちょっとホッとする私がいた。


これ以上身体に痕を付けられると身が持たないから。

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