「……志織ちゃんはどうしてここに？」

「私は製薬会社に勤めてるの。」

そう言って彼女は私に名刺を渡してくれた。

「主に治験の方担当なんだけどね。あ、私行かなくちゃ！また会いに来るからいつも何処にいるの？」

「あ、総合診療棟の集中治療部辺りにいるから。」

「え……、」

そう言うと志織ちゃんは真顔になる。

「集中治療部って麻酔科のドクターにも会う？」

「うん、凄く人使い荒いけど。」

「そう……なんだ。」

表情が硬く見える。

「志織ちゃん？」

「あ……彩、私本当にもう行くね。今度集中治療部に顔出すから！」

「あ、うん。」

……どうしたんだろう、ちょっと様子が途中から変だったような。

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