第72話

「あ……、菜々は悪くないから頭上げて?」


浦崎君はそう言って私の頭をなでる。

や、優しすぎる!

頭を上げて彼を見ると結構疲れているようだった。

でもその疲れている表情さえ色っぽい……なんて私の頭の回路また狂ってる。


「浦崎君、大丈夫ですか?昨日長い手術だったんですよね?」


「まぁね、でもそれより大変な事があって……、」


彼はそう言いながらダイニングテーブルに向かう。


「あ、大好物のハンバーグ。」


「作ってみたのはいいけど味見しすぎてよく分からないんです。」


浦崎君は椅子に座ると黙々と食べ始めた。


味、大丈夫なのかな?

何も言わないけど。


「……今日ね、山本さんに呼ばれた。」


「え?」


食べている途中で山本さんの話って……。

あんまりいい話ではないと分かる。

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