第68話

「はぁ?そんなの無理じゃね?」


「山本さん、僕もそれは困ります。菜……彩さんにはSEの仕事を依頼する事があるので。」


そう言うと山本さんは俺たちを睨む。


「自分達が困るならなぜ彼女を不利な立場におくんですか?あなた方が優秀な医師のように彩さんもとても優秀なSEです。こんなつまらない戯言で彼女をダメにしたくないので。」


「つまらないって……悪かったよ。」


波久はそう言ってため息をつく。

こういう時兄は素直に謝るから悪い人間ではないと思う。


「あの……弟さんの方の浦崎先生。」


「あ、なぎでいいです。」


「じゃあ凪先生、貴方が彩さんと付き合い始めてからいつもの彼女じゃないんですよ。」


「あ……、」


遠巻きに菜々が俺と付き合う事はマイナスだと言われているような気がした。

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