Lovesick 17

浦崎君が帰ってきたんだ。

いつもはもう少し遅く帰ってきたり、帰ってこなかったりする事もあるのに……油断した。

涙拭かなきゃ。

「あ、菜々先帰ってたんだ。」

浦崎君はそう言いながら部屋に入ってくる。

「え、あ、うん。」

「……どうしたの、泣いてたの？」

凄い、こんな時でも普通に振る舞えるんだ。

医師って冷静な時程冷たく感じる。彼を知ってそう思った。

「……ねぇ、マンションに戻るのに荷物多くない？」

「あ……今日は一応身の回りの物だけ持って帰ります。後は後日に、」

「え？」

そう言うと浦崎君は肩にかけていた黒のリュックを落とした。

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