第40話

結局菜々には返信出来ずに朝を迎えた。

避けている訳じゃない事だけ伝えておかないと。


医局のシャワーを浴びて着替えを終えると、

こんな早朝にいるかいないか分かりもしないSEのスタッフルームの階に行ってみる。


すると通りがかりエレベーターが開く。

髪をひとつに束ねようとする菜々と目が合った。


「う、浦崎君!おはようございますっ、」


ひとつに束ねようとしていた髪は途中で彼女が手を離したせいで肩より下にパラッと流れ落ちた。


「あ……別に待ち伏せとかじゃないから。」


「え?そんな事思ってませんよ。」


……よく考えたら彼女は俺の名前も呼ばないし、ましてや敬語。


だから俺は焦るのか。


「メール見てたんだけどすぐ返信できる状態じゃなくてごめんね。だからもしかして会って話せるかと思って来てみたんだ。」


菜々は無言で頷いた。

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