第38話

「浦崎君がとても大事なんですよね。」


そう言うと一瞬間があって、


「まぁ、2人兄弟だからな。」


嘘つき、そんな思いじゃないくせに。

でも前に、俺を探るな、て言われたから何も言えない。


「菜々、俺は……、」


「そうやって今までの浦崎君の彼女さんを排除してきたんですか。」


「排除って……俺は凪を本気で大切にしてくれる相手と幸せになって欲しいだけだ。」


「心配いりません。前に住んでいた私のマンションの契約は継続しています。」


もう色んな思いが複雑すぎて耐えられない気がする。


「恋人同士にはそれなりのお互いの立場とか生活リズムもあるから時間が必要なんです。でも私は……、」


「菜々、悪い、俺が言い過ぎた。」


謝られても、もう色々遅いわ。

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