第92話

思わず浦崎君の胸を押す。


「な、なにしてっ、ここ病院ですっ、」


誰かに見られたらとんでもない事になるのにっ!

なのに浦崎君は悪びれもなく、


「俺の近くでチョロチョロしてる菜々が悪い。理性ぶっ飛ばす気なの?」


「も、もうぶっ飛んでるじゃないですかっ、」


医局でキスなんかして!


「あ、そうだね。」


「そうだね、じゃないです!もう終わりますからじっとしていてください!」


「はいはい、盛ってごめんね。」


笑いながら浦崎君はデスクの椅子に腰掛ける。

謝らないで欲しい。

ドキドキが増すから。


「家に帰って菜々がいたらこうして楽しいんだろうな。」


と、ポツリ彼はそう言った。

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