第65話

だって自分のお守りするので精一杯だった。

高校生の時も大学生になった時もそれなりにそつなくこなせていたのに。

社会人になると自分よりはるかにレベルの高い人種が沢山いた。


技術的にもそんなに器用にこなせてなくて。


なんかよく嫌味言われたよな、顔で全て許されるとか。


そりゃ心も乾くわ。


だから同窓会に行ってちょっと昔に戻りたかったんだろうな。

懐かしんで彩りある生活を思い出したかったんだ。


「笹川さん、この患者さんの昼からのオーダー見ておいて?薬剤減らしていくから。」


「はーい。」


笹川さんは俺の顔を見るとピースサインをする。


いつも元気だな、太陽みたい。

菜々は笑ってくれるけど、どこかぎこちなくて。


どうしたら心から笑ってくれる?


……今朝一緒にコーヒー飲んだのにまた彼女に会いたくなった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る