第63話
「菜々に触れると生きている感じがする。」
「……?」
浦崎君が言っている意味がよく分からなかった。
「気持ちがカサカサになるのが分かるんだよ。心がどうしても入らない時があってね。」
私も疲労困憊するとそんな事あるかも。
「……今はカサカサしてないですか?」
「うん、潤ってるね。コップから溢れる水のような感じ。」
浦崎君がそう言うからちょっと恥ずかしいけど嬉しかった。
よく孤独を感じることはある。
でもその孤独は私だけではない。
彼もそのひとり。
すると正面に座る浦崎君の手が私の左側の首元に触れる。
「ごめん、気をつけてるんだけど痕ついちゃった。」
え……、それは非常に困る。
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