第42話

そう、彼女に会うまではね。


仕事に疲れて医師としても自信がなくなってやる気も無くなっていた夜に彼女に会った。


今でも考えられないよ。

彩さんを自分の家に連れて帰るなんて。


……本当にはじめはそんなつもりじゃなくて。


元同級生が絡まれていたから助けなくちゃというお節介から始まった。


困っている人がいたら手を差し伸べないといけないと思っていたから。


水を飲ませて落ち着いたら彼女の家まで送るつもりだったんだ。


でも……、


「あなたは優しい人ですね、このお水美味しいです。」


優しい?


そう言って彼女は俺の事を抱きしめた。


「よっ酔いすぎっ……、」


俺は彼女から離れようとすると、


「あなたが浦崎君じゃないかと思っちゃう、好きになっちゃいそう。」


酔いが回っている彼女は確かにそう言った。

絶対そんな事を言いそうのない彼女の口から衝撃的な言葉。


その瞬間俺の理性は何処かに飛んでしまった。

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