第14話

次に移動した場所は麻酔科医局。


「うわぁ……、」


入る前から集中治療部と同じ匂いしかしない。


医局に入ると思いのほか人が多い。

この人達麻酔科の先生ってことだよね?

ソファで爆睡してる人、デスクでうつ伏せで休んでいる人……。

野戦病院という言葉を聞いた事があるけどまるでその残骸みたい。


「SEさん、良かった!今コールしようと思っていたんです。」


女医さんらしき人が入口に立つ私に手を振る。


「画面がカンファレンス仕様になってしまって、」


「あ、分かりました。すぐ直します。」


そんな細々な作業中も医局はザワザワしていた。

急変したとか、緊急オペとか色んな言葉が飛び交っていた。


「あの、俺のパソコンも見てもらっていいですか?」


突然右隣から声を掛けられる。


反射的に返事をし、声の主の方を向いた。


「……え、」


思わず身体が硬直する。


声を出したのはあの日の彼だった……。

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