第19話

「文月さん、お久しぶりです。」


視線を上げると院瀬見くんだった。


「あ……、お久しぶり……。」


どう返して良いか分からなかったからオウム返しのような返事になってしまった。


ボールペンは拾った彼の胸元のポケットに収まる。


なんだか所作が綺麗な人だな、と思った。

若いのに顔良し、スタイル良し、仕草まで綺麗なんて妬みしかないわ。


「文月さんの隣の席空いてますか?」


え?

一瞬何を言いたいのか分からなかった。


となりに座る?


イヤイヤそれはないでしょう?

チーム別で座っているのに。

彼は明らかに私と同じチームではない。


「今日座席自由みたいですよ?半期説明会みたいですから。」


院瀬見くんはそう言いながら私の右隣に座った。


え、OKしてないけど!?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る