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「へぇー?ふたり仲良く遅れてきたんだ?」



笑っているけど笑顔じゃない。


いつもヘラヘラしている人ではあるけれど、その辺の違いは区別がつく。


サッカー部の練習グラウンドに一番最後に到着してしまった私たちは、二年生の浅野大翔先輩につかまっていた。



遅れてしまったのは事実だから、反論は出来ないけれど……。



知宏ひとりだけだったのなら、きっと先輩はこんな意地悪な言い方はしなかっただろう。


私が、一緒だったから……。



「こら、浅野くーん。後輩いじめるのは禁止だよ」



何も言えずに、知宏と一緒に黙り込んでいると、浅野先輩の後ろから澪先輩が顔を出した。



「知宏くんは、今日は先生に呼び出されてるから少し遅れますって、ちゃんと前もって連絡くれてたんだよね。

梨子ちゃんは、ふたりで一緒に行きたいから待ってただけなんでしょ?」


「あ、いえ、そういうわけじゃ……」



ここで否定するよりも、そういうことにしておいた方が後々面倒くさくなくていいのかな。

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