3

「知ってるでしょ、私が男子苦手だって」



問題は、これ。

 

昔から男子を目の前にすると緊張で上手く喋れなくて、言葉に詰まってしまって。


成長するにつれ、ますます意識してしまうようになり、それはどんどん悪化していった。


今ではもう、自分から近づくなんて絶対に無理。



「別に、一緒にボール蹴れって言ってるわけじゃないんだしさ。見るくらいはいいだろ。そしたら、他の男子とは近くないじゃん」


「そうだけど……」



練習に参加しなくても、女子はそもそも入部すら出来ないんだから、見学者だって男子ばかりなんじゃないのかと思うんだけど。


そしたら、結局は男子の近くでサッカーを見なくてはいけないわけで。



「俺とは普通に喋るくせに」



生まれた時から近所に住んでいて、母親同士が親友。


そんな環境下で育った私たちは、物心がついた頃からお互いが遊び相手だった。


そんな、性別も意識する前から一緒にいた知宏は、もはや別々に住んでいる兄妹みたいなもので、今さら異性ということで意識することはない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る