放課後のひみつ
1
*
キーンコーンカーンコーン……。
終わりのチャイムが鳴る。ううん、むしろ、始まりの音が。
私、西川梨子(にしかわ りこ)は、一年三組の教室で、チャイムの音と共に自分の席で頭を抱えた。
放課後を告げる音に歓喜しているクラスメイトに、恨めしい視線を送る。
うらやましい……。このまま家に帰れる人たち、みんな。
「こらー、何やってんの、梨子。睨まなーい。てか、怖ーい」
クラスメイトで友達の友理奈(ゆりな)が、私の頭をペシッと軽く叩く。
痛くもないのにそこを擦りながら、私は情けない目を友理奈に移した。
「だって、部活行きたくない……」
「入らなきゃよかったじゃん」
「それは言わないで……」
友理奈の無慈悲な物言いに、再び頭を抱えようとポーズを取りかけると、ひとりの男子が私の机にぶつかった。
「悪い、大丈夫?」
「あっ、だ、大丈夫……です」
至近距離で謝られ、私はビクッと身を退いた。
びっくりした……。近かった。
縮こまってしまった私を見て、友理奈がため息をひとつ。
「よくそれでサッカー部のマネージャーやろうとか思ったよね」
それを説明するには、二ヶ月前の四月に遡らなくてはならない。
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