御曹司は頑固な部下を甘やかしたい

しづ

プロローグ

壁一面ガラス張りのリビングには眩いくらい太陽の光が注ぎキラキラと輝いていた。

テラスに出れば東京の街並みを一望できることだろう。

リビングに置かれた椅子やテーブルも高級品だ。デザインはシンプルながら洗練されていた。

大手不動産会社の社長を父に持ち、20歳の時にこの高級マンションを丸ごと誕生日プレゼントで貰ったというのだから信じられない。

マンションの最上階には自分が住み、残りの部屋は不動産会社に頼んで売買や賃貸を行っているらしい。

「今日からよろしくね。唯」

相対して座る彼、黒部翔くろべしょうが微笑む。

直視できなくて思わず顔を背ける。

滑らかな黒髪。毛穴1つ見当たらない透明感溢れる肌。シャープな顎のラインが彼の顔の小ささを強調していた。やや厚めのピンクの唇はとてもセクシーだ。

美の化身。もしくは美の権化ごんげ。1つの芸術品のような美しさ。

どれ程言葉を尽くしても彼の容姿を表すことはできない。

「よろしくお願いします」

私は蚊の鳴くような小さな声で囁いた。今日から一緒に住むのだが、大丈夫だろうか。

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