第266話

* * *






「叶斗様、千花様、お帰りなさいませ。お荷物お運び致します」



「あぁ」



「ただいま、朱羽」



旅行も終わり家に帰ってきた。



体調も少し良くなった気がする。



特に頭痛とか身体がだるくなることもなかったから。



「朱羽、聞いて。あのね、露天風呂だったんだけど…」



ベッドに座り、私たちの荷物を片付けている朱羽に話しかける。



だけど、呼ばれたことにより遮られる。



「千花」



「ん?」



叶斗の方へ振り向いても続きの言葉がない。



ソファーに腰かけている叶斗の元へ行く。



「叶斗?どうしたの?」



私が目の前に立つと、抱きしめてきた。



腰に抱きついたまま何も喋らない叶斗に、私は朱羽へ顔だけ向けて、部屋から出るように指示を出す。



一礼して部屋を出たのを確認してから、もう一度聞いた。



「どうしたの?」

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