第137話

「壮の近くまで行くのか?」



「ツレテッテクレル?」



「…あぁ」



死人を前にしても私は恐くなかった。



それよりも、自分の手でコイツを殺せたのが嬉しい気持ちが強かった。



やっと解放される…。



目の前まで連れて行ってもらい、降ろされる。



ハハッ、間抜け面…。



私が銃口を向けたとこは心臓。



「千花…そいつは死んでるっつーのにそこまでやんのかよ」



「ナニ、ワタシニジュウモタセタノカナトジャン」



「そうだな…」



バンッ!…とピクリとも動かない死人に向けて私は発砲した。



「………叶斗」



「…気ィ済んだか?」



「うん」



叶斗にもたれ掛かり、さっきまでの黒い衝動は収まった。



「体調悪いとこ本当にごめんな、寝てていいぞ」



私は静かに目を閉じ、叶斗の腕の中で眠った。

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