第85話

遂に明日、退院。



スマホが鳴り、手に取る。



「はい」



『千花様、叶斗様と何かありましたか?』



電話の向こうは朱羽だ。



「なんで」



『指名以外の人まで、叶斗様の手で殺されています。あんなに荒れた叶斗様は見たことありません』



「…ならそのまま殺って。私には関係ない」



荒れてるなら尚更私の所へ来ないで欲しい。



…いや、これはいい機会なのかも?



殺してくれるかもしれない。



だけど、病院内に人殺した形相で入ってこれるわけないか…。



『ですが、千花様…明日退院日であることは聞きました。叶斗様の送迎は必要かと……』



「は?止めてくんない。言ったじゃん、私には関係ないって。叶斗が人殺そうが何してようがほっときなよ」



『…』



「あんた、叶斗の傍にいな。じゃあね」



『千花さっ…』



ブチッと電話を切る。



もういいよ…。



スマホの電源を落とし、眠りにつく。



もうこのまま朝が来なければいいのにね…。

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