第34話

―――ヤサグレ荘。築年数は私の親と同世代。





 二階角部屋の私の城。そこに男を連れ込みたくない理由があるとすれば....






「っ....む、りっぁぁあっ.....」



「杏っ声我慢すんなっ....」







 年季の入った畳の上に、不釣り合いのベッドを置いて、女の子らしく着飾っても耐震強度はクリアしているのかは定かではない古い建物。



 揺れて軋む音は、壁が薄くて隣にも下の階にも私達の性行為は筒抜けであろう。




 

 “確かめる為”と言いながら詠斗に抱かれる私。




 すっかり消えかけていたキスマークも再び、紅く紅く色を付けられて、



 そして触れる指先は荒々しい様で、実は優しかったり....




 

 

 意識する。って今思えば凄く恥ずかしいことなんだね。





「ちゃんとゴム付けて!!」




 詠斗の愛撫によって解された場所。もう既に布団はびちょびちょになって、明日の天気悪かったよな....と洗濯事情が頭を過る。



 前回抱かれた時、中出しされて冷や冷やした。



 今だって、そのまま太くて硬い立派なモノをそのまま挿入しようとするものだから、雰囲気に惑わされない様に先手を打つ。





 一瞬不貞腐れた様に口を尖らせた美男子は、「チッ」と悪態を吐きながらも渋々と膜を纏い....







 私の腰に手を置くと、ゆっくり、じわじわと攻め入る。




 すっかり埋められた場所は満たされて、その存在を実感して締め付けた。





 


 嗚呼これだよ。この感覚、私の型と合致する。







 激しく揺さぶられる身体。床が抜けてしまうのではないかと思うくらいに....激しく....私の心までをも惑わしていく。





 奥へ、奥へ、












 薄い壁の所為で、ずっと我慢していた嬌声も、いつの間にか感情の昂りによって、一線を越えた。









「っだめ、っぃやっ....っぁああアアッ!!」










 

「っ杏....好きだ....好きだ.....。」










 気づいてしまったら最後。私の身体は、この男のモノ.....。

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