第13話

暫く車に揺られた後、停車した場所は、まあなんと言うか....ザ・日本家屋である。



 だけど、コンクリートの高い塀が、いつか聞いたいたヤクザの本拠地そのものであった。




 人工的な中に、味のある表札。





ーーーーダダンッ!とか太鼓の効果音を付けたらいいのだろうか。





「お勤めご苦労様です!若頭わかがしら。」




 男の座る方の扉を開けたのは、スキンヘッドのおっさんだ。



 チラリと覗き見られて、目が合うとフリーズした坊主。



 それは私も同じである。





「何してんだ、早く退けよ。」



「....っすみません。」




 一向に退く気配がない坊主に、男は苛立ち舌打ちを落とすと、坊主は慌てた様子でその場から立ち退く。



 男は先に降りて私の方に回り込むと、扉を開き手を差し伸べた。





「あ、どうも。」




 極々自然に、その手を取って降りてしまった。





【○○指定暴力団 山田組】




 あれだ。ニュースで見た事ある。




 山田組の組員が、他所の組織とドンぱちした〜とか、あ....去年のクリスマスは、奉仕活動で養護施設に沢山のプレゼントを贈ったとか....。




 良いんだから、悪いんだか、よく分からないヤクザが居るな〜とか、賛否両論の世の中。




「あの、若頭....その、女性が例の方でしょうか?」




 スキンヘッド強面おっさんは、恐る恐る訊ねると男は澄まし顔で、「だったらなんだ。」と一刀両断する。





 あれ....一気に血の気が退いていく。





 若頭って、んな馬鹿な。

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