第93話

そして迎えた12月24日


風邪もやっと治ってきていた


目一杯のオシャレをして、冬弥へのプレゼントを持って出勤した


楽しみで仕事もやる気が出た


マリーさんとのコラボ企画の件で夏川先輩に会いに行くと、女性社員に囲まれていた


「先輩今日予定あるんですかぁ?」

「もしないならどこか行きません?」


そういえば夏川先輩の誘い、うやむやにしちゃってたんだ


「ごめん、仕事だから」


「えぇー…何もこんな日に仕事しなくてもぉ」


「こんな日だから仕事するんだよ」


そんなやりとりの様子を遠目で見ていると、私に気付いた夏川先輩が歩み寄ってきた


「一ノ瀬、どうした?」


『あ、マリーさんとのコラボのことなんですけど…』


何もなかったかのように仕事の話を進める先輩


何となく独り者同士で過ごすかくらいの勢いだったんだろう


そう思って私も淡々と話を進めた


「じゃあそれは俺から先方に伝えておく」


『はい、お願いします。では』


「一ノ瀬」


『?』


呼び止められて振り返る


「…いいイブを過ごせよ」


悲しいような、嬉しいような笑顔を向けられた


『…はい』

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