第54話

スマホを受け取る美香の顔はニマニマと笑みを浮かべていた。

麗は気にせず、読書中。

首を傾けているあたし。

そして、超絶不機嫌な表情の天真。

同じ机にいるのに四人共に違う表情なあたし達。

周りから見れば、不思議に思われているだろう。


天真は不機嫌ながらも、机の下から周りに見つからないように指を絡めてきた。

所謂、恋人繋ぎだ。そうしてあたしの親指の付け根当たりをゆっくり撫でる。

離そうとしても思いの外、強い力だったので抵抗する事を辞めた。



そうこうしていれば、午後の授業開始まであと少し。

そろそろ教室に向かわないと間に合わない。

午後はあたしと美香と天真は同じ講義で、麗は別棟だったはず。

麗と別れて三人で教室まで歩いている時、廊下の向かい側からこちらに歩いて来る女の子。


『あ、天真〜♡次はいつ遊んでくれるの?あたしずっと連絡待ってたのに』


なんて言いながら、天真に抱き着く。

そして、あたしを見据えて、『天真ってセックス上手いでしょ?あなたも天真が好きなの?でも駄目だよ?ずっと待ってたんだから、あたし。順番守ってね』

と、言い放った。

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