第53話
「まあ、せいぜい頑張ってみなさいよ。天音を傷付けないならね。」
美香はもう用は無いとでも言うように告げた。
麗は黙ったままだった。
そして、着信を告げた美香のスマホ。
「は~い、どうした?」
「うん、いるよ?変わるからちょい待ち、」
と言いながらスマホをあたしに手渡してくる。
「…えっ?」
「明良から、何か昨日電話繋がらなかったから~って、天音の事、気になってるみたい」
(そうだっ!昨日着信来てたじゃん!)
「ありがとっ」
スマホを受け取り耳に当てる。何故か天真も耳を寄せてきた。でも気にしないでスマホに集中する。
「もしもし、明良くん?電話気付かなくて、その前も急に切っちゃってごめんね?せっかくかけてくれたのに。」
『大丈夫だよ?急に切れたから後になって心配になっただけだから。逆にしつこくてごめん。何もなかったなら良かった』
「しつこいだなんて、そんな事ないよ。心配してくれてありがと」
『気にしないで。昼時にごめんね?』
「うんん。あ、じゃ美香に代わるね?」
『いや、美香とはもう話し終わったからいいよ。残りの授業、頑張ってね?俺も頑張る』
「あ、そうなの?ありがとう。明良くんも頑張ってね?」
『天音ちゃんにそう言って貰えるならいくらでも頑張れそうだよ。ありがとう、じゃあ、ばいばい。』
「ふふっ、ばいばい。」
ブツッと切れて、真っ黒になったスマホを美香に返した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます