第40話
天真side
「天音、眠いのか?」
テーブルの向かい側に座る天音は眠さからか、ウトウトしていて、目もほとんど開いていない。
さっき飲んでいた薬のせいだろう。
静かに天音に近寄る。
そのまま暫く静かにしていたら、ソファーを背もたれにして眠ってしまった。
起こさないように優しく横抱きにして、近くのベッドに天音を寝かせた。
パサッと扇状に枕元に広がる、落ち着いたブラウンの髪。ほのかにローズの香りがして、無意識に一房髪を取り口付けた。さっきよりも濃くなるローズの香り。
香水ではなくてシャンプーかオイルだろう。
さり気ない香りが今までの女達との違いを感じた。
天音の上から両手をベッドについて体重を掛けないようにしながら顔を見る。
真っ白な肌、長いまつ毛に(マツエク?だっけか?)、噛みつきたくなる小さい口。
俺は、何故振られるまで天音の魅力に気付けなかったんだろう。
もし可能なら、付き合った時に時間を巻き戻したい。そうしたらずっと離れないし、天音に変な野郎を近づけさせたりしないのに。
そんなたられば、ばかりが思い浮かぶ。
情けねえな。
(俺は絶対に天音を離さない。捨てられるのは二度とごめんだ。)
そっと上から天音の頬に口付けた。
本当は可愛らしい口にしたかったが、そこにしたら理性が暴走しちまいそうだから、辞めた。
そんな事して、天音に嫌われたくない。
慎重に、確実にいくんだ。
俺の未来図には天音一人が入れば他はどうでもいい。
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