第16話
ドアの前にいた男の顔は、ひどく焦燥しきっていた。長いまつ毛に覆われた綺麗な瞳は涙でうるんでいて、
いつからいたのか、陶器のような肌は外の暑さからかじっとり汗ばんでいた。痛みのない金色の髪の毛はいつも完璧にセットされていたのに、今は、乱れている。
(いつから居たの?さっきの女の子たちと一緒じゃなかったの?それとも遊び終わった後?)
そんな事を脳内でぐるぐる考えていたらいつの間にか天真が立ち上がっていた事にも反応が遅れてしまい、気づけば彼に抱きしめられていた。
(初めて、天真に抱き締められてる)
体温の高い天真からふわり、香る爽やかな香り。
(あたしの大好きな香り。)
でも、その香りに混じる甘ったるい香り。
(たぶん、さっきの女の子の香水かな?腕にだきついてたし)
体温の高い天真と比例するあたしの体温。
体温と一緒に心も冷えていく。
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