第7話
この道はルイタニという地名の由来となった
……
どれくらいの時間が経ったのだろうか、少女の胸の奥から、心を疼きながら流れ出る熱い何かが次第に消えていく。
「...ありがとう。」
「.... いいえ、生きてくれてありがとうございます。」
震える少女の体をぎゅっと抱きしめながら、少年は言った。
「....」
「....」
やがて言葉を失った二人。心を落ち着かせると、いつの間にか抱き合っているお互いの姿を見つけることができた。
「...少し暑くないですか?"」
少年が顔を真っ赤にして尋ねた。
「ううん、暖かいわ。」
同じく真っ赤な顔になった少女は、首をかしげながら答えた。
「あ、こんな時じゃない!もっと寒くなる前に早く下りましょう。 歩けますか?」
「え? ええと...もちろん。」
「良かった! では、私についてきて、気をつけて下りてきてください。」
次第に赤く染まっていく空を背に、少年と少女は下へ下り始めた。
.....
「ここから少し進むとカフェが一つあるから、そこで少し体を温めた方がいいと思います。」
「えぇ、分かったわ。」
少年の言葉にバシッと笑みを浮かべながら答える少女。
二人が出す歩きの音だけが、静かで美しい冬の風景を埋め尽くして何時間経っただろうか。赤い夕日が姿を消し、キラキラと輝く星がその場を埋め始める頃。窓の向こうに暖かい光が、少年と少女に手を差し伸べていた。
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