第5話
激しい風が吹くある日の夕方。夕焼けに映った少女の金色の髪は悲しそうに揺れていた。
「‥どうしてこんなになったんだろう…」
焦点を失った瞳は行き場がないように静かに揺れ、胸をかすめる冬の風に少女の心はさらに憂鬱になっていった。
どれくらい経ったのか。
「もう、疲れた。」
寂寞な沈黙を破って少女は言った。 夕焼けの赤い光はどこかに消えたまま、周囲は白く変わったし、胸をよじった風は今にも全身を裂いてしまいほど激しくなった。そして止むことを知らない吹雪はいつの間にか足と肩を白く染めておいた。それに気づくや否や、体が冷たく震えてくる。
「寒い…」
当然の反応だ。 だが、それでも少女は席を外さない。
「…ふふ..あの時と同じだわ..」
「確かに、どこでも私を受け入れてくれなかった。」
【てく、てくー】
少女は雪を突き破って前に進む。
「私は魔女。これが、まさに私の宿命。」
いつの間にか途切れた道の前に立ち止まった少女が言う。
「....終わらせよう..」
「もう、これ以上は…」
少女が立っているところは絶壁。 天気が悪いせいでよく見えないが、険しい絶壁であることを少女はよく知っていた。遠くの下には尖った木が無造作に絡み合っていた。
これ以上は考えないように、少女は目を閉じた。やがて一歩前に踏み出す少女。その目尻には涙がたまっていた。
あと一歩。その程度動けば少女はもう吹雪の中に消えるようだった。
その時だった。
『ちょっと待って-!!!』
足を伸ばそうとして立ち止まる少女。ここは山の中でも最も険しいところなので、このような天気の中では誰でも簡単には近づけないはずだった。
(聞き間違えたんだろう。)
少女はこう思い、再び足を伸ばした。
「ちょっと待て-!」
「??!!」
聞き間違えたのではなかった。蒸気機関車の汽笛のように、激しい風を切り抜けるその声は、確かに自分を呼んでいた。
予期せぬ状況に音のする方に身を向ける少女。
「はぁ…はぁ…よかった!」
少女が無事であることを確認した声が叫んだ。 顔が赤くなった少年がその主人公だった。
「‥どなたですか?」
震える声で少女は尋ねた。
「あっ、服が薄いだ。とりあえず、これを着てください。」
質問に答えないまま、少年はいったん自分が着ていたベージュ色のジャンパーを脱いで少女の頭にかぶせた。
「どうですか、暖かいですか?」
少年が尋ねた。
「…一体どうしたんですか?」
寒さに長い間さらされていた体を縮めながら、少女は尋ねた。
「それは私が言いたいことです。ここは危ないですよ?どうしてずっと立っていたのですか?」
弱々しく震える少女の服のボタンをかけながら少年は反問した。
「危ないから、こっちへ。」
「‥‥」
絶壁の端を離れ、比較的平らなところに二人が席を移した。
「そうするうちに大変なことになったらどうするつもりですか!」
少年が言った。
「...あなたとは関係ないです。」
「それより、なぜ私を救ったのですか?」
少女が言った。
「人が危ないのに、理由があるんですか?」
少年が答えた。
「人…?」
「はい、人間じゃないですか。」
驚いた目で少年を見つめる少女。 その様子が変だったのか、少年は少女を見つめながら言った。
「ふふ…」
「..?」
少年の返事に黙って笑ってばかりいる少女。
「あの、大丈夫ですか?」
心配した少年が尋ねた。
「人だから....」
「はい…?」
二人の間に風が吹け、その間にぎこちない沈黙が流れた。
「私が······人だからね?」
「え…?」
なんの事か分からないみたいの少年の前に近づいてきた少女は、目を閉じた。
【サララー】
やがて黄色いオーロラのような形が少女の周りを包んで、真ん中に少女が浮び上がる。
「うあっ…?」
初めて見る光景に驚いた少年は、後ずさりしながら上を見上げた。
「やっぱり、あなたも同じだね。」
「…同じだって?」
少女が両腕を広げる。
「うっ…?!」
これまで少女のそばで打たれた風とは次元が違う突風が周囲を覆った。周辺に広がる丸いオーロラ模様の形状が少女の手振りに合わせて周囲の目を風と共に削った。
「...」
少年の当惑した様子を見て、少女はそっと笑みを浮かべる。
「...見た通り私は人ではない。その気になればここで君を殺せるわ。」
「あなたは..」
「そう。私は魔女。君たちの人間が恐れ、逼迫してきた存在。」
少女は手を下に伸ばした。すると、吹雪は美しい決定の形でゆっくりと降り始め、少年と少女の周りに吹き続けた冷たい風は、突然止まった。
美しく降る雪の間、暖炉のように暖かく暖かい空気が2人を包み込んだ。
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