転生・織田信忠
克全
第1話:転生・織田信忠
20××年12月31年
「統合幕僚長!
在韓米軍より緊急連絡、北朝鮮がミサイルを発射しました!」
「官邸に緊急連絡、Jアラート急げ」
「クソ、本当に撃ちやがった!」
「私語は止めろ、できるだけ多くの国民が避難できるように急げ」
「「「「「はっ!」」」」」
1561年1月22日織田信忠視点・5歳
「父上、熱田大明神からお告げを受けました」
運が良いのか悪いのか、織田信長の嫡男織田信忠に転生した。
何もせずに史実通り本能寺の変で明智光秀に討たれるなんて、絶対に嫌だ!
せっかく転生できたのだから、前世の知識と経験を総動員して歴史を変える。
歴史を変えるなら、前世で腹立たしかった世界の仕組みを変えてやる。
白人が好き勝手に世界を動かしているよう未来を変えてみせる!
まずはできるだけ早く日本を統一する。
西欧列強が亜細亜を植民地化する前に、俺の手で亜細亜を統一する。
統一が無理だったら亜細亜各国で連合を組んで白人に対応する。
伊達に自衛隊の統合幕僚長を務めていたわけではない。
軍事知識や戦略戦術に関しては、この時代の誰にも負けない。
「ほう、面白い、どんなお告げを受けたのだ?」
「父上を手伝って日ノ本を統一するようにお告げされました」
「……余が日ノ本を統一するだと、日ノ本の統一を手伝えだと?」
「はい、まずは軍資金を集める手伝いをしろとお告げされました」
「ほう、面白い、だが、どうやって軍資金を集めると言うのだ?」
「近江の六角がやったように、楽市楽座を行うのです。
織田家が、父上が専売される塩以外は、誰にでも自由に商わせるのです。
さすれば集まった人の数だけ塩が売れ、父上に莫大な利益が入ります」
「ほう、それは面白い、実に面白い。
だがそれでは、これまで余に味方してくれて来た商人を敵に回す。
奇妙丸の後ろ盾である生駒家も敵に回すが、好いのか?」
「構いません、私は生駒家の者ではなく織田家の嫡男です」
「分かった、考えておこう。
実際にやるかやらないかは当主である余が決める、それまでは他言するな」
「はい、父上」
「熱田大明神のお告げはそれだけだったのか?」
「いえ、海に討って出よとお告げされました」
「海に討って出ろだと?」
「はい、戦の無い時に足軽を遊ばせておくのは無駄だと申されました。
浜に塩田を築き、海で漁を行い、船の扱いに慣れさせろとのお告げです」
「お告げには塩田の造り方もあるのか?」
「はい、造り方まで詳しくお告げを受けております」
「余に話せるか、どのように造るのか詳しく話せるのか?」
「はい、話せます」
「では今直ぐこの場で話してみよ」
最初は俺の言葉を疑っていた信長が、本気で話を聞く気になってくれた。
転生してからずって考えてきた、どうすれば信長に理解させて許可をもらえるか、考え抜いた献策をした。
生れてからずっと、舌が攣るのを我慢して話す練習をしてきた甲斐があった。
思っていた通り信長は頭が良い、荒唐無稽な夢の話ではないと理解してくれた。
俺が誰かに操られているという疑いを捨ててくれた。
この時代の塩田は揚浜式なのだが、それを入浜式にする利を伝えた。
潮の干満を利用する事で、海水を塩砂に散布するという労力が大幅に軽減される。
それによる経費の削減と純利益の増大を理解してくれた。
さすがは信長である、想定していた最短の時間で理解してくれた。
これならもっと効率的な塩田を献策しても理解できると判断した。
塩砂を三層構造にして塩の品質と生産効率を上げる事も献策した。
更に畳みかけて、塩砂の代わりに立体的な枝状の装置、枝条架を使って塩を作る流下式塩田も献策した。
流下式なら燃料費を劇的に少なくできる事を、信長は直ぐに理解した。
同時に、お告げを受けた俺が指揮しなければ、正確に造れない事も理解した。
この好機を見逃がす俺ではない。
「父上なら塩田が織田家の勝手向きを豊かにしてくれるのをお判りでしょう?
塩田の利で兵を集め武具を買い敵に備えられます。
どうか私に塩田を造らせてください。
戦の無い時の足軽を使って塩田を造るのを、お許しください」
「分かった、奇妙丸に遊んでいる足軽の差配を任せよう。
だが足軽を差配できるのは塩田造りだけだ、戦の差配ではない、いいな?
間違っても初陣ができると思うな、いいな!」
「はい、決して戦に出たいとは申しません。
初陣は父上が良いと申されるまで望みません」
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転生・織田信忠 克全 @dokatu
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