エストルアイデ〜空を仰ぐ魔術使い〜
ホノスズメ
第一章 冬の旅
プロローグ
白いかさをかぶった山林、朝焼ける雪解けの清流のそばで、私はこどもたちを引き連れて小岩に飛び乗った。冷たい岩肌が肉球の感覚を奪っていく。
けれど私は女王猫、これしきのことでうろたえてはいけない。でもやっぱり辛い!
案の定風にさらされる前足がプルプル震えてきたが、顔色だけでも威厳を保つ。
「ねえねえ、女王さまちょっと震えてない?」
「やっぱりー」
「女王さま、どうしたの?」
っく、群がる子たちのほうがずっとあったかいじゃない!。
子供たちをなだめ、ようやく話を始められるころにはほら雪が……寒い。内心でため息をつき、私はわいのわいのさわぐ子供たちへ声を掛けた。
「さ、今日のお話をはじめるわよ」
「「「お願いします!」」」
「っふふ、そうね。これは私の最後の友、あの空の大陸をつくった一人の女の子のお話よ―――」
そう、あの子のお話。たった独りの魔術使い、年老いぬ良き人。
私は、できる限りの感動を込めてあの子を脳裏に描いた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます