生命線

 手のひらにある皺をなぞると、あなたはくすぐったそうにしてカラカラと笑う。

 それがなんだか楽しくて、何度も何度も同じことを繰り返す。

「もう、やめろって」

 ふざけたように言うけれど、なんだか嬉しそうに聞こえる。

「だってほら、生命線すごくながいよ」

 そうやって理由をつけてもう一度なぞると、今度は人差し指を掴まれる。

「ほんと、もう無理……」

 笑い疲れたのか恥ずかしいのか、あなたの口角があがりっぱなしだ。つられて私までニヤけてしまう。

「なんで笑ってんのさ」

「だって、可笑しくて」

 手を離すとすぐさまひっこめ、私に触られないよう後ろに回す。そんなに逃げなくてもいいのに。

 しばらくそんなことを繰り返していると、彼が強く私の手を振り解いた。

「え……?」

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