軽トラ
家の外に出ると、涼しい風が駆け抜けた。もうすっかり秋も深まった。木々はすっかりと葉の色が落ち、見た目はとてもカラフルに染まっていた。
通学路にある銀杏並木は、この時期歩道が潰れた銀杏で溢れかえる。毎日通る身としては臭いことこの上ないが、見上げるとそれも忘れるくらいだ。
木漏れ日に目を細めていると、背後から軽いエンジン音が聞こえた。車道を軽トラが通り過ぎていく。目の前の交差点の信号が赤に変わり停車する。荷台にはゴミ袋がたくさん積まれており、中には木の枝や葉っぱや人の手などが見える。きっと落ち葉などを片付ける業者なのだろう。どうせならこの歩道も綺麗にしてほしいところだ。
「……ん?」
青になる信号。走り去る軽トラ。積まれた人の手。
事件だろこれ。
「え、どうすればいいのこれ」
運転手に声をかけるべき? いやでも殺人犯ってことだよな……。
——いったん通報しよう。
スマホを取り出して電話アプリを開く。1と0を押すだけなのに、やけに指が震える。
緊張しながら通話ボタンを押すと、電話はすぐに繋がった。
『はい110番です。事件ですか、事故ですか?』
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます